「牡蠣の一生」から学ぶ、転職先の選び方
はじめに
「あなたは何のために生きているのですか?」
こう聞かれた時、即答できないという方も多いのではないでしょうか。
この問いに即答できないということは、
あなたが人生において大切にしているものに優先順位をつけられていない
ということなのかもしれません。
(これ自体が悪いことだというわけではありません)
この記事にたどりついた方の中には、
「転職はしたいけど、転職先ってどう選んだらいいのかよくわからない」
という方も少なからずいるのではないかと思います。
今回はそんな方に向けて、「こんな考え方をしてみては?」という一例を提示し、仕事選びの助けになるような記事を書けたらと思います。
牡蠣の一生
かくいう私も学生時代に就職活動を行っている時は、この先どう生きたいのかという自己分析ができておらず、迷走していました。
当時の私の頭の中は、
「音楽が好きだから楽器メーカーに就職したいな」
「歌声合成エンジンとかも面白そう」
「ゲームも好きだからゲームメーカーもいいな」
「でもどっちも給与水準が高くないな」
「そもそもゲームメーカーって残業多そうだな」
といった感じで、「仕事に何を求めるのか」が明確になっておらず、故に業界すら選べていないような状況でした。
そんな時に出会ったのが、若林正恭著「社会人大学人見知り学部 卒業見込」という書籍でした。
当書は、2010年よりダ・ヴィンチにて連載されていたオードリーの若林さんのコラムを集め、加筆・修正の後に書籍化したものです。
自他ともに認める捻くれ者で、陰鬱とした生活を送っていた若林さんは、ご存知の通り、2008年のM-1グランプリを機に大ブレイクしました。
その後の180度ひっくり返った日常を「遅れた社会人デビュー」と形容し、苦心しながらも社会と折り合いをつけていく日々の様子が、時にユーモアに溢れた文体で、時に心温まるエピソードと共に書き綴られています。
とても良い作品なので絶対に読め是非とも読んでみてください。
「牡蠣の一生」はその中のとあるエピソードのタイトルです。
本当は原文をそのまま転載したいのですが、コアな部分の引用のみに限らせていただきます。
若林さんはとあるロケで「岩に張り付いたまま一生を終える牡蠣は、なんのために生きているのだろう?」という疑問を抱きます。
彼の相談にいつも乗ってくれるおじいちゃんにこの疑問を投げかけたところ、このように答えてくれました。
この話を聞いた若林さんは、このように記しています。
とても素晴らしいエピソードですよね。
「意味なんてなくとも生きていていいんだ」という、当たり前だけど見落としがちな大切な価値観を、改めて心に刻み込んでくれます。
是非本を手に取って、この記事では引用できていない部分も読んでみて欲しいです。
この話を読んで、「せっかくだから楽しく生きよう!」と開き直ると、私にとっては日常の中の小さな刺激こそが、意外にも自分の生きる意味になっているのだということに気付きました。
そして、それに気付いてからは、一切迷うことなく就職活動を終えることができました。
最初の問いについて、もう一度考えてみてください。
「あなたは何のために生きているのですか?」
とあるエンジニアの転職活動
自己紹介
さて、実はこの記事は入社エントリーという体で書いているため、大変遅ればせながら、簡単に自己紹介させていただきたいと思います。
2023年7月よりMNTSQ(モンテスキュー)に入社した西室です。今年29歳になりました。
職種はSREですが、ざっくりエンジニアくらいの解像度で捉えてもらって問題ないです。
新卒でSaaS企業に入社し、4年勤務したのちMNTSQに転職しました。
ここからは私の転職活動を元にして、仕事選びの考え方の一例を紹介したいと思います。
何のために生きているか(例)
それでは、
「何のために生きているか」≒ 「人生において大切なものは何か」
という問いについてですが、私の場合の回答は以下のようになります
友人だったり、家族や恋人(そのうちできる予定)と過ごす時間
ギターやボードゲームなど趣味に打ち込む時間
音楽や本、漫画などの創作物に触れる時間
非常に俗ですが、別に崇高な目標など持たなくとも生きていて良いのだということを、我々は「牡蠣の一生」から学びました。
ここで大切なものがハッキリしたので、自ずと仕事に求めるものも定まります。
仕事に求めるもの(例)
私の場合はとにかく時間が欲しいので、仕事に求める最も重要なものは、「ワークライフバランス」となります。
次に、趣味にせよ人付き合いにせよ、「収入」の大小は選択肢の広さに直結します。当然生活の質にも大きく影響するので、ここの優先度は比較的高めです。
また、高い収入を維持する上で必要なのは「スキル」です。今だけ稼げても、10年後がわからないような働き方では、求める人生が歩めません。
潰しの効くキャリアを形成できるような仕事を選びたいです。
ここまでが必須条件です。
私の場合は、ここまで来てようやく「楽しく仕事できるような環境」という要求が出てきます。もう少し解像度をあげると、
優秀なメンバーに囲まれて働ける
エンジニアというドメインに閉じない働き方ができる
の2点を特に重視していました。
ということで、ここまでの流れをまとめると以下のようになります。
【仕事に求めるもの】
ワークライフバランスが取れる
残業が10h/月を超えると負けた気分になる
収入が良い
30歳までに年収で⚫︎⚫︎万円(秘密)稼げる見込みがある
スキル形成ができる
AWS, Azureなどを使用したサービスの構築・運用ができる
インフラだけではなく、アプリ構築やDB設計にも関われる
優秀なメンバーに囲まれて働ける
自律駆動できるメンバーの中で働きたい
忌憚なく議論がかわせるメンバーと働きたい
エンジニアというドメインに閉じない働き方ができる
ビジネスの視点を持って働けるエンジニアになりたい
圏外. 社会貢献性、 事業の成長性、 家賃補助などの福利厚生 など
優先順位の範囲内でも、もう少し掘り下げてみました。
例えば ”年収2000万” という収入を求める場合は、残業10h/月以内なんて舐めたワークライフバランスを保つことは一般に難しいわけで、私の場合は後者の方が重要だとハッキリ認識しているので、そのような収入の目標はありえません。(タダで貰えるなら嬉しい)
よって、ワークライフバランスを崩さないと思われる額に設定します。日々のキャッシュフローや家族構成などの人生設計から、一度必要額を計算してみるのも良いと思います。
また、「求めないもの」を明確にしておくことも大切です。
仮に転職活動をしてみて、「家賃全額補助」なんて求人があったとしても、ワークライフバランスがとれなかったり、スキル形成ができなそうだったりする企業であれば、迷うことなく見送ることができるわけです。
当然これはただの例なので、「3度の飯よりプログラミングが好き」という生粋のハッカーの方は「やりがいのある課題に取り組めること」が何より優先されると思いますし、「こう社会を変えたいんだ!」という信念を大切にする人は、探す以前にそもそも自分で起業する選択肢も出てくるのだと思います。
なんにせよ、転職先の選び方がわからないという人は、「人生において大切なもの」ついて整理し「仕事に求めるもの」を掘り下げてみるというのも、有効なアプローチの1つになるのではないでしょうか。
MNTSQを選んだ理由
MNTSQがどのような会社かという点については、他の方が色々書いてくださっているため、ここでは潔く省略したいと思います。
私の「仕事に求めるもの」を、MNTSQは以下のように満たしています。
1.ワークライフバランスが取れる
MNTSQは子育て世代の方の割合が非常に高い企業なので、ここは問題ないと判断しましたし、入社後もギャップは感じていません。むしろチーム内で独身が自分だけという状況で、別ベクトルの衝撃を受けました(涙)
2.収入が良い
そんなに高い目標ではありませんが、転職時に達成できました。
3.スキル形成ができる
急成長中の会社なので、新規プロジェクトに企画段階から関われる機会があります。また、個人の裁量がとても大きいので、自分次第で凄くスキルア ップできる環境だなと感じています。
4.優秀なメンバーに囲まれて働ける
本当に皆さん優秀な方ばかりです。経歴的にも輝かしい方ばかりなので、劣等感の強い方だと最悪命に関わる環境ですが、私は牡蠣のように「理由無くこの世界に存在していい」のでノーダメージです。
5.エンジニアというドメインに閉じない働き方ができる
エンジニアでも、オンボーディングの中に「初回商談に同席する」という項目があるくらい、他のドメインの業務を知ろうという気概が全社的にありますし、他ドメインの方へのリスペクトをとても感じます。
個人的には、好きな会議(顧客参加のものも含む)に自主的に参加してOKというルールが気に入っており、商談がどのように進むのかを追いかけさせていただく予定です。
しかし、今回の転職活動では、これらを満たしている3つの企業からオファーをいただき、どれを受諾しようかとかなり悩みました。
最終的には、「仕事に求めるもの」で圏外においている「社会貢献性」の観点の差でMNTSQのオファーを受けることにしました。
↑の記事は弊社CEOの板谷が執筆したもので、
「全ての合意をフェアにする」というMNTSQのVisionが生まれたきっかけについて書かれています。
私は元々「何を作るか」という点は重視していませんでしたが(面接でもそのように伝えていました)、この記事を読んで素直に凄くいいなと感じ、「自社のプロダクトに誇りを持てるというのも一種の福利厚生だな」と考えるようになりました。
「求めないもの」として切り捨てた要素も、やっぱり満たされていると嬉しいですよね。
※ 私はどちらかというとドライな方で、もちろんMNTSQとしてはこのVisionに熱く共感してくれる方にこそ来て欲しいと思っています!
おわりに
この記事において一番伝えたかったメッセージは、
若林さんのエッセイを読んでくださいということです。
なんだか「入社エントリーとは...?」という内容になっている気がしますが、少しでも転職(就職)について悩んでいる方の助けとなれれば幸いです。
私のような、私生活重視の考え方(決して仕事を適当にやったりはしないですが)も一つの生き方だと思って気に入ってますし、板谷のように、熱い情熱を持って社会に挑戦する生き方もとてもカッコいいと思います。
牡蠣の生き様が教えてくれたように、そこに貴賤はないのです。
いずれにせよ、
あなたの人生を豊かにするための手段として、
もしくは生きる意味の1つとして、
MNTSQで働くことにも興味を持っていただけることを願っています。
ちなみに私は牡蠣が嫌いです。
濃縮された海水の味がする。