VPoEが語るMNTSQの「成功と課題」。エンタープライズSaaSで築いた地盤の先で直面するプロダクト開発の「壁」とは
こんにちは!MNTSQ採用広報担当の加賀谷です。
今回の記事では、VPoEの高田さんにインタビューを行いました。
スタートアップSaaSながら、契約領域で大企業のサービス導入が進む「MNTSQ CLM(モンテスキュー シーエルエム)」。サービスが描く未来とその事業戦略、そしてプロダクト開発における課題について開発責任者の視点から解説します。
まだまだこれからの領域「契約業務×AI」
ー まずは、サービスの概要と特徴を教えてください。
当社は、クラウドサービスとして契約業務の業務プラットフォームを提供しており、いわゆるSaaSスタートアップです。特徴としては、契約業務に必要な機能をオールインワンで提供し、契約業務のライフサイクルを一気通貫でサポートしている点です。
現在は「契約業務の未来がここに。エンタープライズの契約業務に、卓越したスピードと信頼性を」を掲げ、日本の大手法律事務所、業界を代表する大手企業のお客様のご協力もいただきながら、新規プロダクトの開発、既存プロダクトの磨き込みに取り組んでいます。
契約に関するSaaSというと、締結をクラウド上で行う電子契約サービスや、契約書のAIレビューなど、契約業務をスポットでサポートするサービスを思い浮かべる人が多いかと思いますが、私たちが提供している「MNTSQ CLM」は、契約業務の全体をカバーしたプラットフォームです。
法務相談や契約書ドラフトの作成段階からはじまり、社内レビュー、交渉、契約書の管理、これらすべてをMNTSQのプラットフォーム上で支援します。
重要なのが、取り込まれた契約書データをAIで解析して蓄積し、審査交渉の経緯と合わせてナレッジとして活用できる点です。
これまで法務・契約の領域は、 財務会計や製造、販売流通などの他の領域に比べてITやデジタルの活用が遅れていたと思います。それにより、ベテランや限られた有識者のノウハウや経験に頼って運用され、ナレッジやデータがたまらずに再活用が難しい状態が続いていました。そんな中、他業界と同じく人材は不足し、一方で法務や知財などの重要性と業務の複雑性と負担は増加するという課題があります。
ー 重大な業界課題にトライしているプロダクトなのですね。これまでデジタル活用がなされていなかったのは、どのような背景だったのでしょうか?
業界特有の要因もあるとは思いますが、技術的な進歩が追い付いていなかった面も大いにあると思います。私自身も過去にDXの取り組みをしてきましたが、契約業務だけはAIが進化しないと本質的な課題に対応できないと先送りをした記憶があります。
6年前、当社が創業したタイミングは、2010年代の自然言語処理、機械学習といったAI技術が大きく進展して活用期を迎えていたターニングポイントでした。
契約書は、かなり構造的に構成されている文書です。そのため、自然言語処理や機械学習と相性が良いんですよね。そのことに創業者である弁護士の板谷とAIエンジニアの安野が気付き、契約領域の課題にアプローチするサービスを作るきっかけになりました。
AIを活用してこれからIT活用がすすむ契約領域ですが、日本の契約市場は年間5.7億件、そこにかかる人件費は2.6兆円というデータがあります。(※)人件費のうち300億円程度はデジタル化が進んでいるのが現状ですが、詩集的には30~50%までは目指せる見込みです。ここを我々が担っていきたいと考えています。
※経産省センサス、NBL(企業法務部実態調査)、日弁連統計などからMNTSQが推計
そして現在は、生成AIの登場により破壊的な技術革新が進んでいます。6年前とはコストも精度も比べものにならず、技術的に見えている景色は変わっており、アプローチして解決できる課題の領域が広がっている感覚があります。
エンタープライズ導入と大手法律事務所パートナー、強固な地盤を築いた戦略
ー サービスを通して目指す未来と、現在地を教えてください。
MNTSQは、ビジョンに「すべての合意をフェアにする」、ミッションに「テクノロジーの力で契約のインフラをつくる」を掲げ、契約のベストプラクティスを社会に浸透させることを目指しています。
これらを実現するためにまずは、エンタープライズ領域の契約業務に、卓越したスピードと信頼性を持ってサービスをご利用いただくことを第一歩としています。
ー スタートアップ企業が、初手からエンタープライズへの導入に狙いを定めたのは珍しいと感じますが、どのようなお考えなのでしょうか?
すべての合意にたどり着くためには、合意のハブであるエンタープライズから入っていくのが一番の近道と考えているからです。
MNTSQのミッションとビジョンにおける主語は「社会」で、社会課題を解決するためのチームだと思っています。社会インフラを支え、中心となっているエンタープライズを通じ、その取引先や関連子会社のSMB(※)、その先の個人に展開していくイメージです。
※SMB…スモール・アンド・ミディアム・ビジネス。中小企業を指す。
当社代表は大手法律事務所の出身であり、創業当初はそのネットワークを活用してエンタープライズからセールスをすることができたという背景があります。これはスタートアップでは稀であり、当社の強みのひとつでもあると思っています。
日本のIT予算の8割を大企業が持っているという現実からターゲットを設定・価値提供し、安定した収益を通じて事業とプロダクトを成長させ、その後にSMBへもつなげていくのも合理的と考えています。
ー お金、数ともに大元から押さえにいく戦法ですね。
大元からという点では、私たちが大手法律事務所と連携する関係にあるのも、当社のコアとなる部分で、これは他社にはない例です。
日本を代表する大手法律事務所のひとつである長島・大野・常松法律事務所とは創業時から、2024年6月からは西村あさひ法律事務所とも戦略的協業関係となり、両者ともにユーザーとしてプロダクトをご利用いただいています。
ー 法務業界サイドからも、法務のデジタル化にアプローチしていくわけですね。
はい、共通の課題を共に解決していくパートナーとして協業しています。
コンテンツやノウハウの提供を通じ、プロダクト開発の面でも価値向上につながっていると思います。
本質的で革新的なサービスがエンプラ正面突破の勝因
ー 戦略で描いたとおり、現在「MNTSQ CLM」は各業界のさまざまな大企業に導入いただいていますよね。スタートアップがエンタープライズから受注する難易度はとても高いと思うのですが、実際どのようにして門戸を開いたのでしょうか。
個人的には、自社ながら奇跡的な状態だと感じています。
2つポイントがあり、まずは、課題に真っすぐ応えたプロダクトが受け入れられた、という点です。
まずは業務プラットフォームから提供をすることで、契約業務のデジタル化とIT活用をデータから支える。これがまさにエンタープライズの担当者に求められていて、課題解決につながるプロダクトを提供できた実感があります。
ー 課題感にヒットしたのですね。
もう1点は、当社のエンタープライズセールス・カスタマーサクセスの強さですね。代表は大手法律事務所の出身ですが、当初はそのネットワークも活用していました。セールスチームはお客様の本質的課題に向き合いながら信頼関係を構築していますし、カスタマーサクセスチームは導入を通じてお客様に徹底して寄り添っています。当社のセールスチーム・カスタマーサクセスチームからコンサルティング力を感じていますし、プロダクトの価値発揮につながっていると思います。
そして、エンタープライズのお客様は他社がどのように活用して実績を作っているのかをよく見ておられます。ひとつの導入が次の導入を呼ぶ、連鎖がはたらいた結果ですね。
キャリアを縦横に広げるエンタープライズ×SaaS×AIの開発
ー 次の成長に向けて、課題と感じているのはどのような点でしょうか。
ビジョンを実現するために必要な組織つくりは明確な課題だと思っています。現在は40名のチームで開発を担っているのですが、この規模では目標やビジョンは成し得ません。
ー まずは増員、組織の拡大ということですね。
おっしゃるとおりです。一方で、人数が増えれば開発がうまくいくかというとそうではありません。
コンスタントに新規プロダクトを開発していくには、個々のプロダクトのアーキテクチャ設計ができる経験豊富なエンジニアが必要です。例えば、スキルの高いアーキテクトやテックリードに入社いただくことで、良質なアーキテクチャ実現や開発の生産性向上が進みます。経験豊富なエンジニアリングマネージャーに入社いただくと、エンジニアに選ばれる環境を一層整えることができたり、組織拡大のスピードを上げることができると考えています。
そういった意味でも、テックリードやシニアエンジニアというハイレイヤーの採用を通して組織のアッパーを上げていくことも必要です。そういった方にとってはチャレンジングな課題が山積みになっているということが面白みであり、当社が提供できる環境や機会だと思っています。
既存プロダクトについても、プロトタイプをユーザーに確認いただきながら、本質的課題とニーズを捉え、試行錯誤を繰り返しながら「より最適な」価値を提供し続けるための開発をおこなっています。これから経験をつまれる方も、こういった経験をつむことで、新規プロダクトを担うエンジニアになっていただきたいと考えています。
優秀なエンジニアが集まる組織にできるか否かは、事業成功をに関わる重要な要素だと思っているので、継続的に取り組んでいきたい課題です。
ー 開発面の課題はいかがでしょうか。
開発面では、まずは開発のスピードアップにトライしたいです。新規プロダクトの開発に加えて、既存プロダクトのアップデートの開発サイクルをペースアップしていく必要があります。
既存プロダクトは、これまでサービスを成長させることと同時に、内部のアーキテクチャを計画的に改善し続けることも大事にしてきました。しかし実態としては十分に間に合ってはおらず、改善事項が増していっているのが現状です。エンハンス対応を進めると同時に、リアーキテクチャをやり切る体制を構築しなくてはなりません。
また、リリースサイクルについては、大きな課題があります。
MNTSQはエンタープライズ向けSaaSを開発しているという特性から、リリースサイクルは2週間に1度、それもサービスを一時的に停止してリリースしています。一般的なエンタープライズ向けサービスと比べて遅いというわけではありませんが、スタートアップとしてリーンにSaaS開発を行ううえでは、サービスを停止せずにリリースサイクルを短くしていくことに挑戦していきたいです。
他にも、プロダクト開発においてはまだまだスタートアップならではのカオスが待ち受けています。事業面では盤石な地盤を築けているものの、プロダクトの成長次第で事業の成長角度が大きく変わる、やりがいのあるフェーズに立っていると感じています。
ー 新規プロダクトのゼロイチもあれば、既存プロダクトの改善・成長フェーズも経験できる。ここにはMNTSQでのチャレンジの幅広さを感じますね。
MNTSQの仕事がチャレンジングで面白いのは、まさにこの点です。加えて、これらをエンタープライズに向けて遂行していく、難易度の高いミッションに挑戦できる環境でもあります。今のMNTSQでエンジニアをすることのうまみと言えますね。
そのうえで、当社はAI領域のサービスを開発しているので、「フルスタック」は、フロント/バックエンドだけではなく、AIエンジニアの領域にも関わることになります。逆も然りです。キャリアの横幅を広げることができます。
キャリアの縦方向も同様で、当社はチーム開発を重視しているので、チームと個人の成長/成果をシンクロさせることにこだわっています。たとえばテックリードが技術的意思決定やディスカバリーなどの上流工程に積極的に関わり、マネジメントなどのキャリアパスまで見据えやすくするような組織です。
ー いまMNTSQは事業が上向きで、組織的にもチャレンジがしやすい状況ですよね。ポジションに空きもありますし。
MNTSQのエンジニアには、目の前の多数の技術課題に対峙しながら、エンタープライズ向けに新しいものを作っていくチャンスが豊富にあります。これから入社いただいた方には、マルチにフルスタックなキャリアとスキルを身に付けながら、組織と共に成長いただける場所だと思っています。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
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