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「RubyKaigiの高揚感はエンジニアの栄養になる」のは本当だった(前編)

5月に開催されたRubyKaigi 2023に初参加した MNTSQ。多くの収穫がありましたが、他社とのつながりが生まれたのもその一つ。そこで「結果にコミット」でおなじみのRIZAPさんと、アフター企画として合同インタビューを実施しました。
第2弾となる今回は、RubyKaigiの主役ともいえる両社の開発メンバーたちが登場。
シニアメンバーがRubyKaigi参加にあたって期待したこと、そして、初参加となる若手メンバーが実際に参加して感じたこととは?
こちらも前後編に渡ってお届けします。

※今回の記事は、リアルとオンラインの2回に分けて行われたインタビューをもとに構成しています。

■プロフィール
佐藤直之/RIZAPテクノロジーズ プロダクト開発統括1部部長
梅田智大/RIZAPテクノロジーズ プロダクト開発統括1部エンジニア
飯田亮介/MNTSQ エンジニアリングマネージャー
箱嶋直幸/MNTSQ 案件管理チームエンジニア

まずは自己紹介から

――自己紹介をお願いします。

RIZAP佐藤(以下、R佐藤)
RIZAPで開発の責任者をしております佐藤です。
RIZAPに入社したのは2021年の11月です。当時はエンジニアどころかIT人材がゼロだったので、入社以降すべての採用活動を担当しています。

RIZAP梅田(以下、R梅田)
RIZAPでエンジニアをしております梅田と申します。
新卒4年目ですが、入社当時はD2Cの部署に配属され、新商品の企画開発を行なっていました。エンジニアになったのは3年目のときです。
なぜエンジニアになったのかというと、弊社では採用活動と並行して内部の人間をエンジニアに育てていこうという取り組みもスタートしておりまして、このときに声がかかり、社内のエンジニア育成プログラムの1期生になったことがきっかけです。
今は勉強を続けながら、少しずつエンジニアとして仕事をしているところです。もちろんRubyKaigiへの参加も今回が初めてで、いろんな刺激をもらいました。
本日はよろしくお願いします。

MNTSQ飯田(以下、M飯田)
MNTSQでエンジニアリングマネージャーをしております、飯田と申します。
自分は去年の7月にMNTSQに入ったので、約1年になります。
前職はずっとRubyのエンジニアだったのですが、キャリアのスタートはマンションの一室みたいなスタートアップ企業でした。2社目はメガベンチャーでtoBのサービスを作っていました。
MNTSQに入社後は一度PdMになったのですが、今年の5月にMNTSQ自体がエンジニアチームの体制を改編することになり、そこで過去の経験を買われてエンジニアリングマネージャーへと転身しています。
現在は社内で若手メンバーのメンタリングやテックリード的なことをやっています。

MNTSQ 箱嶋(以下、M箱嶋)
バックエンドエンジニアの箱嶋です。
私は一昨年の7月にMNTSQに入ったので、約2年がたったところです。
さっき飯田さんから「マンションの一室」とありましたが、私が最初に入ったスタートアップ企業は一軒家の2、3階部分でした(笑)。
そこで社内SE的に働き始めて、その後自分でWebアプリを作ってみるところから、エンジニアとしてのキャリアが始まっています。
今は案件管理チームというところに所属して、ソフトウエアエンジニアとして開発をしています。よろしくお願いします。

RIZAPテクノロジーズでは現在
chocoZAPの開発支援に注力中

――それぞれの会社の事業内容と、社内における開発チームの役割についてお聞かせいただけますでしょうか。

R佐藤
RIZAPテクノロジーズは、RIZAPグループ全体の開発支援やDX支援を行う会社になります。
じゃあRIZAPグループ全体では何をやっているのかというと、子会社が60社以上ある会社なので、やろうと思えば無限に仕事があるんですよ(笑)。

M飯田
さっき東畑さんもお話しされていましたが、RIZAPってジムだけじゃなかったんですね。

R佐藤
そうなんです。
アパレルだったり小型家電だったりと本当に多種多様なので、共通化できるものがあんまりないんですよね。なので、リソースの注力はメリハリをつけていかないと、かえって何もできなくなってしまいかねません。
そこで今RIZAPグループが総力を挙げて行なっている新規事業が、ご存じの通りchocoZAPというわけです。RIZAPテクノロジーズにおいても、現在、chocoZAPの開発支援へのリソース投下が大半を占めています。

M飯田
CMも至る所で流れていますもんね。

R佐藤
チェックしていただき、ありがとうございます。ではわれわれ開発チームが何をやっているのかというと、1番のメインはアプリの開発で、そこでRubyを使っています。
chocoZAPでは、ジムの入退館はもちろん、あらゆることがアプリで行えることが大きな特徴となっていますので、アプリそのものの開発に加え、アプリが使うAPIサーバーや、お客さまが使う認証システムのID基盤、管理画面や登録システムなどの開発など、chocoZAPを中心とした各エコシステムの開発を行っています。

RIZAPグループ全体の
Webサイトの開発・運用支援も行っています

R佐藤
あともう一つ、ホームページの開発も結構メインの業務になっています。
というのも、RIZAPグループって先ほどもお伝えした通り、たくさんの会社があるので、当然Webサイトもそれぞれにあるんですよね。
そうすると、それぞれの担当者が各協力会社さんに開発していただいて、そのまま放置されているようなホームページがすごくいっぱいあって。そういう昔のホームページってだいたいWord PressかApache、PHPみたいな感じで動いているんですけど、それを1個ずつ引き取って、モダンな感じにしつつメンテナンスもしやすいように、基本的にNuxtで書き直していくっていう取り組みをしています。

――メンバーもどんどん増えているかと思いますが、いかがでしょうか。

R佐藤
そうですね。先ほどお伝えした通り、私が入社した当時はエンジニアが私1人でした。
そこから主にバックエンド、フロントエンド、モバイル、QA、SRE、ディレクター、デザイナーの7業種を募集していて、今全体で40名強ぐらい。
ほぼ全員がこの1年で入った方なので、毎月結構な人数が入ってきています。

――社員と業務委託はどのような割合ですか?

R佐藤
正社員が1、業務委託の方が2ぐらいでしょうか。
業務委託がいい、悪いというのはまったくありませんが、当然社員比率は上げたほうが望ましいとは思っていますので、社員の採用を引き続き進めております。
とはいえ業務委託の採用がイージーだとも思っていませんので、業務委託でご参画いただける方も一生懸命採用していて……うん、つまり、両輪で採用しまくっている状態です(笑)。

「すべての合意をフェアにする」がMNTSQのスローガン

――MNTSQさんはいかがでしょうか。

M飯田
改めてご説明させていただくと、MNTSQというのはMNTSQ CLMというSaaSワンプロダクトでやっています。
こちらは主にエンタープライズの法務部や、契約業務を行う事業部を対象にしたプロダクトです。
弊社はそもそも大手弁護士事務所の提携と、自然言語処理に対する技術的なアドバンテージを持って設立されています。
その二つを掛け合わせて、「テクノロジーによって契約業務を便利にできないか」と。その先に「すべての合意を、テクノロジーを使ってフェアにできないか」ということを掲げて事業を推進しております。

R佐藤
MNTSQ CLMとは、どんなプロダクトなんですか?

M飯田
一言でいえば、過去の契約データやこれから作られる契約データを一元集約して、それをOCR(Optical Character Reader)と機械学習によって抽出し、利活用できるようにするサービスです。
過去のデータから情報を検索したり抽出できたり、はたまた次に契約を結ぼうとしたときに、過去の契約の中から似たような案件を探して「過去のこういうナレッジが今回は使えるんじゃないですか?」と自動提案したり、そういうことができるプロダクトを作っています。

エンタープライズの契約業務を支援する
「MNTSQ CLM」を開発しています

R梅田
契約業務ってすごく大変そうですもんね……。

M飯田
そうですね。契約業務って、過去の自社ナレッジや世間一般のベストプラクティス的なナレッジを集合させてやらなければいけないんですけれども、そのナレッジは完全に人間の記憶と経験と勘に頼ってしまっているんです。
契約業務のベテランの人であれば自分の頭の中とか、自分のローカルフォルダーに過去の案件がたくさんあったりして、そこから引き出すことでなんとかやっているという感じですね。

でもそれじゃあ全然一般化できていないし、新人のメンバーともなると「わかる人に聞くしかないけど、それが誰なのかわからない」状態にもなりがちです。
それで結局、欲しい情報にたどり着くのに何日も何週間もかかってしまうということが往々にしてありました。

それがエンタープライズの領域ともなると、法務部も何十人といて過去の契約もたくさんあって、そうしたナレッジも死蔵されている状態でした。
そこを解決するサービスとしてMNTSQ CLMを提供しているのですが、おかげさまで、現在名だたるエンタープライズ企業に受け入れていただいております。

――そのMNTSQ CLMの開発を担当されているのですね。

M飯田
はい。弊社ではバックエンドエンジニアのことを「ソフトウエアエンジニア」という言い方をしているんですけど、このソフトウエアエンジニアがRailsを使ったWebアプリケーションを作っています。
具体的にはユーザーが使うインターフェースであったり、そこからデータを取り出したりするところを開発しています。

――現在、開発チームのメンバーは何名ぐらいで構成されていますか?

M飯田
うちも社員1に対して業務委託の方がもう少し多いぐらいで、ソフトウエアエンジニアが社員と業務委託、あわせて15〜20名ぐらいですね。
それ以外に機械学習の部分を担当するアルゴリズムエンジニアや、検索の領域を担当するエンジニアがいて、あとはQAとSREと、デザイナー、プロダクトマネージャーによって開発チームが構成されています。開発組織全体で60名ぐらいです。 

若手メンバーにRubyKaigiのワクワク感を体験してほしかった

――運営側のお話では、両社ともに採用広報の一環としてRubyKaigiに参加されたようですが、佐藤さんと飯田さんは開発チームをリードする立場として、どのような狙いがありましたか?

M飯田
自分は前職のときにRubyKaigiに一度参加したことがあったんです。
そのときはエンジニアとして駆け出しみたいな状態で、興味本位での参加だったんですけど、Rubyの世界の広がりというものをすごく感じたんですよね。
もちろん、当時は登壇者の話などほとんどわからなかったんですけど、「こんなに自分の知らないことがあるんだ」とか「こんなに優秀な人たちが、こんなことをやっているんだ」とか、「だからRubyってこういうふうに発展しているんだ」ということを肌で感じて、純粋にワクワクしたんです。

あとはRubyのコミュニティっていうのがすごくあったかくて。
実際の講義も、一つ一つの技術的なところは難しすぎてついていけないものの、登壇者がたどった思考の過程とかはすごくわかりやすくプレゼンしてくれていたんです。それで「この人たちは、『聞き手の中には、このレベルの話がわからない人がいる』ということを前提にして話してくれているな」というのを感じましたし、その後のパーティーの場とかでも、技術的にすごい人たちが自分たちの悩みにもとても寄り添っていろんな話をしてくれるのが印象的でした。
自分の技術やスキルを掘り下げていけば、いつかはこうしたレベルにたどり着けるかもしれないという期待を持つこともできて、とにかくすごくいい経験だったんです。
今回のRubyKaigiへの参加は、当初はもちろん採用観点で自社のプレゼンスを上げるということで提案が出たんですけど、自分としては社内の若いエンジニア、まだRubyKaigiに参加したことのないエンジニアに、一度この空気に触れてほしいと思いました。

社内に閉じこもっていては知り得ない情報にどっぷり浸れる

R佐藤
なんか今、自分が言いたいことを全部飯田さんに言われちゃったような気がします(笑)。

M飯田
ああ、すみません(笑)。佐藤さんも過去にRubyKaigiに参加されているんですね。

R佐藤
はい。私の場合も、自分のカンファレンス経験が今回のRubyKaigiの参加につながっています。
若い頃、Rubyに限らず結構熱心にカンファレンスに行っていたんですよ。やっぱりいろんな人に出会えるし、いろんな情報が降ってくるのがいいなと思って。

M飯田
うんうん。そうですよね。

R佐藤
社内に閉じこもっていると知り得ない情報なんかにもたくさん触れることができますし、あとは今、SNSとかはありますけど、なんだろう……やっぱり業務時間中に行くというのが、大きな意味を持つような気がします。
まるまる2日、3日かけて、新しい技術を知る体験にどっぷり浸るっていうのは結構貴重な体験で、それってTwitter(現:X)とかだと得られないものなんですよね。

かつ、カンファレンスに行くと、そこで登壇していた人のTwitterを見てみようという気にもなるし、実際に見る機会が増えると感じています。
Twitterを見るだけなら、何もカンファレンスに行かなくてもできることだと言われるかもしれないんですけど、やっぱり実際に行くことでフォローする人も増えるし、いままでなんとなくでしか見ていなかった情報も、なんか楽しく見られるようになったりするんですよね。
そうやって視座が上がったり、情報の密度が濃くなったり、ネットワークが広がることがすごくいいなと思っているので、若手メンバーにもその体験をしてもらいたかったっていうのは大きいです。

情報の視座が上がると技術力も上がる

M飯田
めちゃくちゃわかります。
弊社はスタートアップで、ありがたいことにユーザー数もすごく伸びているので、開発に追われる中でもビジネスの視座は上がりやすい環境にあると思っています。いっぽうで、エンジニアとして成長していくべく視座を上げようにも、人によってはどうしてもその余裕を持てなくなってしまう時期があって。
そういうときにRubyKaigiに参加して、「こんなにすごい人たちがいるんだ」と感じてもらい、「いつか自分もあそこに行けるかもしれない」とか「自分もこういうことをやってみよう」と思ってもらえたら一番いいな、と思いました。

R佐藤
そうそう。やっぱりやる気になるんですよね。
RubyKaigiでもまつもとさんが「栄養」に例えていたと思うんですけど、本当にエンジニアの栄養になって、「また1年頑張るぞ」と思える。そういうところがすごくいいと思います。
あと、情報の視座が上がることによって自然と技術力も上がるんですよね。
本当のことを言えば、前職のときももっとRubyKaigiなどのカンファレンスに行きたかったんですけど、なかなかできなかったという背景がありまして。
RIZAPに入ってからも「RubyKaigiに行きたい」と言っても、最初は上層部も「ふーん」という感じでした(笑)。でも、めでたく今年、会社として行けるようになりました。

M飯田
そうだったんですね。

>>>>>後編に続く