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エンタープライズ×契約業務にAIがもたらす価値と、生成AIによる新たなチャレンジの可能性とは

こんにちは!MNTSQ採用広報の加賀谷です。
今回の記事では、2021年にMNTSQに入社し、現在アルゴリズムエンジニアのチームマネージャーとしてAI機能開発をリードしている平田さんにインタビューを行いました。MNTSQでのAI活用やアルゴリズムエンジニアとしての取り組み、これからの展望などについて話を伺っています。

良いプロダクトが事業成長に、AIが顧客価値へと繋がるMNTSQという環境

ー 改めて平田さんのご経歴について教えてください。

大学では情報工学を専攻しており、ソフトウェア開発×統計の分野で研究をしていました。新卒でSIerに入社し、システム開発や研究開発などに従事。2019年にKaggle Masterの称号を取得してからは、主に機械学習を応用したソリューションの提案や実装を行っていました。
SIerでの仕事は受託開発がメインでした。目の前のお客様に喜んでいただくのはやりがいでしたが、受託開発ではQCD達成が優先で、お客様の価値が必ずしも自社の事業成長に直結するわけではないことに悩んでいました。

「お客様の価値と自社の事業成長が繋がるような環境で仕事をしたい」という気持ちが強くなっていたころ、縁があってMNTSQと出会いました。話を聞いていくうちにMNTSQのプロダクトや会社の理念に強く惹かれ、2021年2月に入社しました。

ー 現在の業務内容と役割についても教えてください。

MNTSQの開発体制

私はアルゴリズムエンジニア兼チームマネージャーを担当しています。
アルゴリズムエンジニアは、アルゴリズムとデータ活用を軸とした、プロダクトと組織の差別化をミッションにしていて、主に機械学習(特に自然言語処理)や検索といった技術領域を扱います。
「アルゴリズムエンジニア」というジョブタイトルは、創業者がPKSHA Technologyの出身だったのでそこから持ち込まれたものと想像しますが、問題を解くための手段が制限されない感じが個人的には気に入っています。

私は現在、契約書データの構造化を行っている既存の機械学習モデルをLLMに移行したり、LLMを活用した新規プロダクトの開発に取り組んでいます。

技術進歩によりたどり着いた、契約業務が抱える課題とAIソリューションの邂逅

ー そもそもMNTSQのコア技術としてAIが必要な理由を教えてください。

代表である板谷は、弁護士の経験から、契約業務に課題を感じていました。課題の多くは、契約業務が契約書という非構造化データのやりとりで成り立っており、契約レビューから最終的な合意に至るまで、人による判断や手続きが不可欠である点にあります。

AIを使うことで、契約書を分析し、契約に関するナレッジを蓄積できます。このナレッジを基に、契約レビューの自動化やリスク検出を行い、契約締結までの時間を大幅に短縮しつつ、契約リスクを制御することが可能となります。

MNTSQ CompanyDeck - Speaker Deck

ー 契約領域とAIの親和性が高かったわけですね。一方で、なぜこれまでAIが導入されてこなかったのでしょうか?

大きな理由は次の2つだと考えています。

  1. 契約書は紙ベースの管理が基本だったこと

  2. 契約領域でAI導入の費用対効果が得られにくかったこと

しかし、電子契約の普及やAI技術の発展が重なって、状況が大きく変わりました。このあたりの流れはHubble CLOの酒井さんの記事で詳しく説明されています。
AI技術の発展は今も続いていて、2022年末に登場したChatGPTは、契約業務でのAI活用の可能性を大きく広げました。2024年5月にはGPT-4oをはじめとした、契約書のような長文を扱えるAIも登場しています。

ー これからAI技術が契約領域でどのような価値を生み出していくか教えてください。

AI技術は、幅広い領域でその可能性を秘めていますが、特に契約領域において、次のような活用が大きな価値を生み出すと考えています。

  1. 契約データの分析: 契約書を構造化することで、契約内容の理解が容易になります。また、組織全体の契約パターンやリスクを可視化することで、より効果的な契約戦略に繋げることができます。

  2. 契約書の自動作成・レビュー: 過去の契約データに基く、契約書の自動生成や自動レビューが可能になります。これにより、契約締結までの時間や人為的なミスを大幅に削減できます。

  3. 周辺業務とのシームレスな連携: AI技術を使うことで、人の判断や手続きを必要としていた業務間の非構造化データのやり取りを自動化できます。これにより、契約に関わる一連の業務をシームレスにできます。

エンタープライズ×生成AIで"新雪に足跡を残す"アルゴリズムエンジニアの面白さ

ー MNTSQの強みはどこにあると思いますか?

自然言語処理に明るいエンジニアが在籍し、高品質なプロダクトを開発していることはもちろん、やはりMNTSQの強みは多くの大企業(エンタープライズ)へサービスを提供している点ですね。

大企業は業務フローも複雑化しており、ステークホルダーも多岐にわたります。単に契約書のデータを収集・整理するだけでは有用なプロダクトにはなりません。大切なことは、複雑難解な業務フローを捉え、クライアントの事業成長に貢献できるようなシステムを構築することです。

強みは多くの大企業へソリューション提供できているという実績とそのノウハウ、一方でそれを実現するためにエンジニアを含めて全職種が顧客の業務プロセスを深く理解する必要があるというのが難しい点でもあります。

ー エンタープライズ特有の業務フローや組織力学を理解し、さらに要件の意図を汲み取って技術に落とし込むという点では、TechとBizの連携が必要不可欠ですね。

まさにその通りです。TechとBizのコラボレーションによって、お客様の真のニーズを理解し、それを実現する最適なソリューションを提供することができます。
しかし、時代とともに複雑化するビジネスをそのまま複雑なプロダクトに落とし込むだけでは将来のスケーラビリティを損ないますし、お客様から提示された要求をそのまま実現するだけではMNTSQのVisionを実現できません。
プロダクトのシンプルさとビジネスの複雑さのバランスを保ちつつ、最先端のAI技術で付加価値を創出することは、非常に難しいですが、やりがいのある仕事だと感じています。

ー 平田さんの組織が抱える課題や、今後実現したいことがあれば教えてください。

私は、多くのエンタープライズのお客様に導入いただいているMNTSQだからこそできることとして、お客様とともに法務の未来を創りたいと考えています。

お客様や法務コミュニティの声を聞いていると、近年、法務の役割も変化しており、法務人材不足やアジャイル・ガバナンスの実装が課題になっていると感じます。先程も取り上げた酒井さんの記事にもあるように、これからの法務機能はテクノロジーによって徐々に民主化され、法務部門はより経営・事業起点の課題解決にフォーカスできるようになります。

アルゴリズムエンジニアとしてチャレンジしたいのは、契約業務における意思決定(*1)をAI技術で自動化し、業務フローをシームレスにすることです。その実現のために、次のような課題に取り組みます。

  1. AIが間違った意思決定をしないために、意思決定の精度を高める高品質なデータ基盤を構築すること

  2. AIの意思決定をユーザーが信頼するために、意思決定の透明性を高めること

これにより法務機能の付加価値を高め、MNTSQを通じて、エンタープライズ企業全体の競争力強化に貢献したいと考えています。

*1: 意思決定というと大げさに聞こえますが、ここでは仕事上の小さな判断も含めた、幅広い意味で用いています。

ー 最後に、MNTSQのアルゴリズムエンジニアに興味がある方へ、メッセージをお願いします!

AI技術の進化は、ソフトウェアが社会にもたらすインパクトを日々大きくしています。MNTSQはその最前線で、日本を代表する企業の、法務の未来を創る仕事をしています。

エンタープライズSaaSはエンジニアから敬遠されがちで、実際に大変なことも多いのは事実です。しかし、テクノロジーで社会を良くするという視点で見れば非常に魅力的な分野です。

AI技術を中核とするエンタープライズSaaSは、まだ数が少なく、私たち自身も未知の領域に挑戦していると感じています。「まだ誰も踏み入れていない雪原に足跡を残す」ような体験やチャレンジをしたい方、そして、その挑戦を通じてビジネスとして価値を提供することに魅力を感じる方は、ぜひ一度お話を聞きに来ていただければと思います。

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
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